「小津は二人いらない」と言われた新人喜劇監督は時代を経て、透明で苛烈な極北のメロドラマ『浮雲』に到達した。名匠・成瀬の全貌を初めて集成。映画の一世紀は、私たちの世界に豊穣な恵みをもたらした。しかし、その全体を私たちはまだ充分には知っていない。
目次
[年譜・アルバム]
成瀬巳喜男(1905-1969)
[遺文]
ノートから
シナリオ『龍宮』
渋谷界隈
ふるさと東京
人間のつかみ方
[対談]
(成瀬巳喜男×筈見恒夫)
[未映画化シナリオ]
「月のある庭」
[回想]
聞き手=阿部嘉昭/木全公彦/田中眞澄/丹野達弥
金子正且「プロデューサーが語る、企画・キャスティング術」
中北千枝子「常連女優が語る、成瀬巳喜男の演出術」
須川栄三「助監督が語る、成瀬巳喜男の監督術」
[対談]
『浮雲』について(成瀬巳喜男×高峰秀子)
[採録]
『浮雲』撮影台本より
[成瀬組]
スタッフ・キャスト名鑑
[成瀬巳喜男・文献目録抄]
成瀬巳喜男・全映画
解説=田中眞澄/ものがたり=丹野達弥(戦前)木全公彦(戦後)
(1)チャンバラ夫婦 (2)純情 (3)押切新婚記 (4)不景気時代 (5)愛は力だ (6)ねえ興奮しちゃいやよ (7)二階の悲鳴 (8)腰弁頑張れ (9)浮気は汽車に乗って (10)髭の力 (11)隣の屋根の下 (12)女は袂を御用心 (13)青空に泣く (14)偉くなれ (15)蝕める春 (14)チョコレートガール (17)生さぬ仲 (18)菓子のある東京風景 (19)君と別れて (20)夜ごとの夢 (21)僕の丸髭 (22)双眸 (23)謹賀新年 (24)限りなき舗道 (25)乙女ご丶ろ三人姉妹 (26)女優と詩人 (27)妻よ薔薇のやうに (28)サーカス五人組 (29)噂の娘 (30)桃中軒雲右衛門 (31)君と行く路 (32)朝の並木路 (33)女人哀愁 (34)雪崩 (35)禍福(前・後篇) (36)鶴八鶴次郎 (37)はたらく一家 (38)まご丶ろ (39)旅役者 (40)なつかしの顔 (41)上海の月 (42)秀子の車掌さん (43)母は死なず (44)歌行燈 (45)愉しき哉人生 (46)芝居道斯 (47)勝利の日まで (48)三十三間堂通し矢物語 (49)浦島太郎の後裔 (50)俺もお前も (51)四つの恋の物語 (52)春のめざめ (53)不良少女 (54)石中先生行状記 (55)怒りの街 (56)白い野獣 (57)蓄薇合戦 (58)銀座化粧 (59)舞姫 (60)めし (61)お国と五平 (62)おかあさん (63)稲妻 (64)夫婦 (65)妻 (66)あにいもうと (67)山の音 (68)晩菊 (69)浮雲 (70)くちづけ (71)騒雨 (72)妻の心 (73)流れる (74)あらくれ (75)杏っ子 (76)鰯雲 (77)コタンの口笛 (78)女が階段を上る時 (79)娘・妻・母 (80)夜の流れ (81)秋立ちぬ (82)妻として女として (83)女の座 (84)放浪記 (85)女の歴史 (86)乱れる (87)女の中にいる他人 (88)ひき逃げ (89)乱れ雲