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アーティストを目指して活動されているみなさん、おつかれさまです!でも、どんなに信念を貫き、長く創作を続けている人でも、ほんの心のスキマに、「この状態をいつまで続けられるだろうか」「創作しているものはこれでいいのだろうか」といった、漠然とした不安に襲われることも、たくさんあるのだろうと思います。こちらでは、自分の心とどのようにつきあい、前向きに自分を信じる力を取り戻したいとき、読んでほしい本たちをご紹介します。
まずは定番の『アーティストのためのハンドブック』を読んで、弱った心との健全なつきあい方を身につけましょう。どんなに大物になっても、必ずあるものだし、逆になければ作品に深みが生まれない(かも?)しれないコンプレックス、将来や作品評価についての不安を味方にすることで、きっとまた生み出す力が湧いてくるでしょう。
またぜひ一緒に読んでほしいのが、『仕事や人生や未来について考えるときにアーティストが語ること』と『じぶんを切り開くアート』。前者は、なぜ作るのか(=なぜ生きるのか)という根源的な質問に真摯にこたえるアーティストたちのことばが、彼らの人生を動かしたものごととともににシンプルにまとまった一冊。後者は、もはや「作品」だけがアートではなくなった現代において、違和感を社会に問いかけ、アートを自分から始める覚悟を持ったアーティストたちのことばに、勇気をもらえるはずです。
お次は一見好き勝手に暴れているように見えるアーティストの、心に秘めた戦略がのぞき見られる『ブリキの方舟』はいかがでしょうか。ハチャメチャなおじさんふたりが織りなす絶妙な不協和音が、不思議なハーモニーとなった一冊。かつて政治的色合いを含んでいた由緒正しき(?)「サブカルチャー」を現在も体現するふたりのコラボに、積極的に脱力してみてください。
脱力したあとは再びすこしネジをしめて、社会に暗黙のうちにあるさまざまな境界を、「可能性の芸術」によって循環させる『生きるための試行』を。豊かな混沌を愛することこそ、インクルーシヴな社会を構築しる唯一の手段ではないでしょうか。アートとは、表現することとは、何なのか、自分に問い直すきっかけになるかもしれません。
一方、アルコール依存症、閉鎖病棟入院といったどん底を乗り越えて、新たな表現の境地に達した日常を赤裸々に描いたのが『ホームシック』のECD。激しく生きなければ表現できないという錯覚にとらわれず、まっさらな自分と「しあわせ」を素直に受け入れることで、新しく見えることもあるのではないかと思わざるえません。
締めは映画界の異端児『カオスの神 園子温』にしましょう。いわゆる「雇われ」ではない一匹狼として数少ない世界から絶賛される園監督が、表現についていかにシビアに追求し続けているか。心を引き締められると同時に、明日への希望が聞こえるはずです。
2013.07.08