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わたしたちの生き方は、無意識のうちに、自分が知っていることを軸に進んでいるのではないでしょうか。興味がないと思って知らずにいたことを、もし、知っていたら、どんな人生になっていたのでしょうか。そんな「もうひとつの」自分に出会うためのオススメ書籍をご紹介します。
まずは定番の、『芸術・思想家のラストメッセージで』で軽く準備体操しましょう。
好まないものに出会ったら、それを排除するのではなく、好むように自己を仕向けていく契機と見るべきなのだ ジョン・ケージ
芸術家や思想家など、著名人が晩年や死を直前にして何かを思い、残したメッセージには、人生のエッセンスがこめられていると言っても過言ではありません。たったひとつのことばが、渇きを癒してくれることもあるはずです。まずは素直にことばに寄り添い、ぜひその方の作品にも触れてみてください。
自分にはアイデアが足りない、と思い込んでいるひとには『横井軍平ゲーム館』はいかがでしょうか。著者は任天堂でコントローラーの金字塔「十字キー」を開発した軍平さん。その数々の発想力の源は、実は、あらゆるアイデアが出尽くしたかのように見える現在に、古い技術を「水平移動」することにより、新しいものを創り出すことを編み出した「スーパー・ジェネラリスト」なのです。アイデアって、ゼロから生まれるばかりじゃないのですね。実践の知識の蓄え方と使い方は、あらゆるひとの刺激になることマチガイありません。
自分が何を好きなのか、どんなことに興味があるのかよくわからない、というひとには、『結局、どうして面白いのか』をぜひ読んでいただきたい。本書は北海道テレビのローカル放送ながら、全国に熱烈な「藩士」をもつ「水曜どうでしょう」というバラエティ番組の「説明しづらいけれど確実に存在する面白さ」について、臨床心理学の切り口から探っています。番組ディレクターの方々もおっしゃっていますが、客観的にことばにすることで改めて確かめられる「何か」って、あるのですよね。モヤっとした自分の中身を探るヒントになると思います。
落ち込んで、自分には長所なんてないと思っているひとにはこちら、『グラグラな社会とグラグラの僕のまんが道』をどうぞ。他者への強烈なひがみをバネにして作品を次々生み出すマンガ家福満しげゆき氏の魂の叫びを読めば、こいつよりはマシ(失礼!)、いやまさに、自分ではマイナスと思っていたことも、度を超せば強烈なパワーにできる、生きていくしぶとさを取り戻せること間違いなしです。ショック療法で元気になりましょう!
最後は、何かを始めたい、でも今からでは遅い? と思っているひとにパワーを与えてくれる『フィンランドで見つけた「学び」のデザイン』を。「学び」とは、学校を卒業したら終わりでしょうか? もったいないです! 本書では、いわゆる「お勉強」ではなく、いつまでも尽きることのない人間の好奇心を満たすための、もっと本質的な「学び」の姿勢について紹介しています。フィンランドの方々が実践している豊かな人生に、明日一歩を踏み出す勇気をもらいましょう。
2013.07.08