つながるカレー

コミュニケーションを「味わう」場所をつくる

加藤文俊/木村健世/木村亜維子=著
発売日
2014年7月9日
本体価格
1,800円+税
判型
四六判・並製
頁数
208頁
ISBN
978-4-8459-1431-9
Cコード
C0036
備考
品切

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フィールドワーク×カレー=∞!!
「まち・ひと・こと」の、あたらしいコミュニケーション学。

知らない場所でカレーをつくって一緒に食べたら何がおきたか。
ごく自然に「つながる」、カレーキャラバンという「方法」。

最初、変なことをやっているなと思いました。
しばらくして、そうか、凄いぞって、にやけました。
彼らがやっていることは、
間違いなく、地域再生の最新スタイルです。
――ナガオカケンメイ(デザイン活動家)

人と出会い、まちで作る、「カレー」の奥深さ。
ひとつの鍋を、ともに煮炊きし、食することで生まれる「つながり」は、
想像以上に豊かで、実りある時間を生み出しました。

あるまちでカレーをつくり、そのまちの人々に無料でふるまい、一緒にカレーを食べる一風変わったプロジェクト、それが「カレーキャラバン」。そのまちに着き、炊事場を確保し、材料の買い出しに行き、カレーを作っていく・・・
カレーキャラバンの活動を通して、さまざなことや、さまざまな人との出会いの中で、人と人との関わり方のヒントや、自然なコミュニケーションのあり方、居心地のよい場所をつくることの本質を考えることのできる、ユニークな1冊。

さまざまな人との出会いから生まれたたくさんのストーリーをまとめて、そこから自然にうまれた「場づくり」「チームづくり」「持続可能性(サステナビリティ)」の方法。それらはきっと、私たちの暮らし方、生き方のヒントになるでしょう。

メディア掲載

目次

つながるカレー/加藤文俊

はじめに  ひとと出会い まちでつくる 旅するカレー

1 まちで鍋を炊く
はじまり
カレーという「方法」
石のスープ
鍋のある風景
旅に出る
カレーキャラバンのプロセス

2 場づくりのヒント
まずは食べる 「小鍋会」
関係をつくる 「ミニマム・アーバニズム」
人をいざなう 「編み編む編まれ編むとき編めば」
おすそわけする「Thuisafgehaald(タウスアフヘハールト)」
みんなで囲む 「ビッグランチ」

3 チームで動く
まちを知る方法
調理とコミュニケーション
「旅人」の身軽さ
ちいさなチーム

4 続けるための工夫
「待つ」場づくり
一度かぎりのレシピ
決めすぎないこと
赤字という態度

5 コミュニケーションを「味わう」場所
「居心地のいい場所」をつくる
すべてはコミュニケーションのために
つぎはあなたのまちで

コラム①  絵本のなかのカレー/加藤文俊

カレーキャラバン、まちへゆく/加藤文俊・木村健世・木村亜維子
00 基本のカレーのつくり方
01 おじさんからジョッキビールをもらう。 墨東カレー(東京都墨田区)
02 本格的な道具が増えた。 墨大カレーⅡ(東京都墨田区)
03 はじめての旅。 カミフルカレー(新潟県新潟市上古町)
04 タンドール窯をつくった。  こもろカレー(長野県小諸市)
05 テントも梅酒もいろいろ手に入れた。  たなべカレー(和歌山県田辺市)
06 おばちゃん現る。 みずつちカレー(新潟県新潟市)
07 ポテトに焼き印。 FABカレー(神奈川県鎌倉市)
08 表彰状をいただいた。 やぶきカレー(福島県矢吹町)
09 あれから一年。墨東に里帰り 墨東カレーⅢ(東京都墨田区)
10 ご近所さんがご飯だけもってきた。 氷見カレー(富山県氷見市)
11 行列ができるカレーキャラバン くにたちカレー(東京都国立市)
12 “引き売りさん”が来た。 たなべカレーⅡ(和歌山県田辺市)
13 たくさんの表情。 のじまカレー(神奈川県横浜市)
14 小さなカレー万博。 FABカレーⅡ(神奈川県横浜市)
15 公園デビューした。 松戸カレー(千葉県松戸市)
16 山でカレーをつくるということ。 ほくとカレー(山梨県北杜市)
17 二回目の年末、カレー納め。 FABカレーⅢ(神奈川県鎌倉市)
18 お寺でカレーをつくった。 いわきカレー(福島県いわき市)
19 冬の盛岡に行った。 もりおかカレー(岩手県盛岡市)
20 “東京”を食べた。 うのきカレー(東京都大田区)

コラム② カレーキャラバンの7つ道具/木村健世

あとがき

プロフィール

[著]
加藤文俊(かとう・ふみとし)
1962年京都府生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。龍谷大学国際文化学部助教授などを経て、現在、慶應義塾大学環境情報学部教授。カレーキャラバンでは、おもに「タンドール窯」を担当。あとは、キャラバンに使えそうなグッズ探索、(余裕があれば)「大人買い」。2003年より「場のチカラ プロジェクト」を主宰。学生たちとともに、全国のまちを巡りながら「キャンプ」と呼ばれるワークショップ型のフィールドワークを実践中。「墨東大学」(2010-2011 岡部大介・木村健世との共同プロジェクト)、「三宅島大学」プロジェクト(2011-2013)に参画。近著に『キャンプ論:あたらしいフィールドワーク』(2009)、『X-design』(2013、共著)などがある。

木村健世(きむら・たけよ)
1969年福島県生まれ。多摩美術大学美術学部建築科(現環境デザイン学科)卒業。カレーキャラバンでは、おもに「鍋をかきまぜる」ことを好んで担当。「まち」をフィールドにアートプロジェクトを展開するパブリック・アーティスト。主なプロジェクトに「ある視点・十日町編」 越後妻有アートトリエンナーレ(2003)、「ココにある日常 ソコにある思い出—山口さんちの365日」山口情報芸術センター(2005-2006)、「Earth ON AIR」水と土の芸術祭(2009)、「墨東大学」墨田区東エリア広域(2010-2011 加藤文俊・岡部大介との共同プロジェクト)、まちの文庫目録シリーズ「赤坂文庫」「墨東文庫」「国立文庫」都内各所(2007-)など。

木村亜維子(きむら・あいこ)
1981年石川県小松市生まれ。武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。カレーキャラバンのリーダー(一応)。初めて一人暮らしをしたまちのカレー屋さんで、スパイスたっぷりのカレーに出会ったことからカレーに目覚める。大学卒業後、国立市の設計事務所で、国内外の地域計画や建築企画設計に携わる。墨東大学のいくつかのプログラムに参加し、まちの中で半ばゲリラ的に行われる人びととのコミュニケーションから、場所の力や魅力を見つけることに深く感銘を受け、「墨大カレー考」を企画する。現在、千葉大学大学院園芸学研究科博士前期課程に在学中。都市のコモンスペース創出や地域アイデンティティ醸成などの研究をおこなっている。