新しい主人公の作り方

アーキタイプとシンボルで生み出す脚本術

キム・ハドソン=著
シカ・マッケンジー=訳
発売日
2013年3月26日
本体価格
2,300円+税
判型
A5判・並製
頁数
288頁
ISBN
978-4-8459-1303-9
Cコード
C0074
刷数
3刷
神話理論で物語を書く3冊セット(20%OFF)

その他のネット書店から購入

おとぎ話・神話と、心理学的アプローチによる創作のメソッド

主人公の魂の成長、自己実現の旅の軌跡をどう描くか。本書では、ユング心理学をはじめとした心理分析において、コンプレックスの仕組み、「影」がキャラクターに与える影響などを紹介します。中でも物語創作には欠かせない「女性性(ヒロイン)」というアーキタイプに着目することで、革新的なシナリオを生むための創作法を解き明かします。
また、ヴァージン、娼婦、母/女神、愛人/王、ファム・ファタール、暴君、老婆、魔女、守銭奴など多数のアーキタイプを提案。これらを比較しながら、それぞれが物語上で担う役割やテーマを考えることで、シンボリズムを有効に使うための原則を説いていきます。映画やテレビの脚本家はもちろん、魅力的な主人公を書きたい小説家やゲームシリオ作家、アニメーターにも役立つ一冊です。

■『作家の旅 ライターズ・ジャーニー』著者、クリストファー・ボグラーによる序文
■ヒット映画の豊富なストーリーテンプレート、創作に使えるワークシート付き

本書を読んで、男性の視点と異なる語り口と思考に驚いた。著者ハドソン氏はヒーローに対するヒロインといった呼び名をあっさりと捨て、「ヴァージン」というアーキタイプを提案している。(…)難しくなりがちなアーキタイプや心理学の理論について、これほどすっきり明確に書かれたガイドブックは他に例をみない。(…)本書はジョーゼフ・キャンベルや私の著作と並行して読めるように書かれている。
──クリストファー・ボグラー(序文より)


目次

序文 クリストファー・ボグラー
まえがき
イントロダクション
第1章 アーキタイプの理論
アーキタイプの理論
ユング理論の基礎
おとぎ話と神話
アーキタイプ的テーマ
シンボルの言語
ヴァージンとヒーローの比較

第2章 ヴァージンの旅
ステージ【1】依存の世界
ステージ【2】服従の代償ステージ
ステージ【3】輝くチャンスステージ
ステージ【4】衣裳を着るステージ
ステージ【5】秘密の世界ステージ
ステージ【6】適応不能になるステージ
ステージ【7】輝きの発覚
ステージ【8】枷を手放す
ステージ【9】王国の混乱
ステージ【10】荒野をさまよう
ステージ【11】光の選択
ステージ【12】秩序の再構築(レスキュー)
ステージ【13】輝く王国

☆ヴァージンの映画の構成
『アバウト・ア・ボーイ』
『エンジェルス』
『ベッカムに恋して』
『リトル・ダンサー』
『Bollywood / Hollywood』
『ブロークバック・マウンテン』
『エリン・ブロコビッチ』
『エバー・アフター』
『キューティー・ブロンド』
『メイド・イン・マンハッタン』
『デンジャラス・ビューティー』
『New Waterford Girl』
『プリティ・ウーマン』
『恋におちたシェイクスピア』
『天使にラブ・ソングを…』
『サウンド・オブ・ミュージック』
『ダンシング・ヒーロー』
『ヴァージン・スーサイズ』
『ウェディング・クラッシャーズ』
『あなたが寝てる間に…』
『ワーキング・ガール』

第3章 アンチ・ヴァージンのストーリー
『マンマ• ミーア!』と『40歳の童貞男』 の場合

第4章 ヒーローの旅
ステージ【1】平凡な世界
ステージ【2】冒険への誘い
ステージ【3】誘いの拒絶
ステージ【4】ガイドとの出会い
ステージ【5】第一関門
ステージ【6】試練、仲間、敵
ステージ【7】準備
ステージ【8】危機
ステージ【9】報酬
ステージ【10】帰路
ステージ【11】最終決戦
ステージ【12】宝を持って帰還
☆ヒーローの映画の構成
『エイリアン』
『ビバリーヒルズ・コップ』
『ブラッド・ダイヤモンド』
『ボーン・アイデンティティ』
『ザ・ファーム 法律事務所』
『マトリックス』
『プリンセス・ブライド・ストーリー』
『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』
『許されざる者』
『ウィロー』

第5章 脚本の構成
三幕構成
ビートシート
その物語はヴァージンかヒーローか?
セントラル・クエスチョン
コネクション
人物プロフィールとシンボリズム
まとめ

訳者あとがき
付録1 ビートのワークシート HERO / VIRGIN
付録2 ピッチ準備のワークシート ・ 付録3 キャラクター・シンボルのワークシート
参考文献

プロフィール

[著]
キム・ハドソン
カナダ・ユーコン準州で育つ。野外地質学者として活動を始め、後に自治領土協定の交渉員となる。二女の育児体験から女性の心理や成長過程に興味を抱き、バンクーバー・フィルム・スクールで映画脚本術、神話学、女性学、またスイスの国際分析心理研究所でユング心理学を学ぶ。映画や音楽、テレビ番組、広告に見られるアーキタイプ(元型)や人間成長の過程を考察。ヴァージンのセオリーを用いて脚本や小説執筆のコンサルティングやセミナーを行なっている。『The Virgin’s Promise』は初の著書。現在、女性的なアーキタイプ理論をクリエイティヴな生き方全般に応用するための続編を執筆中。
著者サイト:The Virgin’s Promise Blog (英語)

[訳]
シカ・マッケンジー
関西学院大学社会学部卒。「演技の手法は英語教育に取り入れられる」とひらめき、1999年渡米。以後ロサンジェルスと日本を往復しながら、俳優、通訳、翻訳者として活動。教育の現場では、俳優や映画監督の育成にあたる。ウェブサイト英語劇ドットコムを通じ、表現活動のコンサルティングも行っている。訳書に文化庁日本文学普及事業作品『TheTokyo Zodiac Murders』(英訳、共訳)、『魂の演技レッスン22』、『“役を生きる”演技レッスン』『監督と俳優のコミュニケーション術』(フィルムアート社)他。