ハリウッド脚本術3

アクション・アドベンチャーを書く

ニール・D・ヒックス=著
菊池淳子=訳
発売日
2006年6月
本体価格
1,800円+税
判型
A5判・並製
頁数
160頁
ISBN
978-4-8459-0690-1
Cコード
C0074
刷数
2刷
備考
品切

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はじめに
アクション・アドベンチャーのバイブル

アクション・アドベンチャー映画は、アメリカ映画最大の輸出品だ。海外にはアクション・アドベンチャー を見て、アメリカの文化や価値観に初めて触れる人も多い。このジャンルの脚本を書きたい人間なら誰でも、 満足のいくアクション・アドベンチャーの秀作の書き方や、現代のアクション映画が抱える問題を回避する方法を知りたいと思うだろう。

優秀なアクション・アドベンチャーを書くには、ただ単にCGを駆使したり、派手で無意味なバイオレンスを盛り込んでもだめだ。必要なのは、観客をだまさずに満足させるような、完壁なストーリーを作ることなのだ。あくまでもストーリーの中身であって、スタイルではない。

だが現実には、感情面でも倫理面でも観客を引き込んでいない脚本家が多い。これは主人公に十分注意を払っていないからだ。脚本家は自分が紙面に描いた世界に、観客を引き込まなければいけない。

私が初めてニールの論文を読んだのは、1995年。 「クリエイティヴ・スクリーンライティング」に掲載 された「アクション・アドベンチャー映画の根底にある倫理観」という論文だった。おそらくこれが本書のもとになったのだと思う。

作品に現代的で新しい倫理観が反映されているかどうかは別として、観客が満足して映画館を出て行くかどうかは、一つの完結したストーリーを見たかどうかにかかっている。つまり、観客が見終わった後に変化を経験し、ストーリーに何らかの意味を見出せるかどうかなのだ。また、登場人物に信憑性が感じられるように構 成することも重要だ。

ニールはさらにこう続けている。脚本家として注意すべきは、個々のシーンの面白さや刺激ではなく、ストーリー全体の意味である。ともすると野心的な脚本家は、木を見て森を見ずになりやすい。アクションシーンに集中するあまり、ドラマとしてのストーリーの魅力を十分発揮できていない。そもそも脚本というのは、きちんとストーリーを観客に伝えることが前提なのだ。そして人が人生の間に真理を悟る瞬間があるように、映画の主人公にもそういう瞬間が必要である。また、主人公の苦しみ・悲しみ・後悔の念に、観客が共感できるようでなければいけない。主人公にも普通の人間と同じような欠点があり、それでも必死で生き残ろうとする。 だからこそ彼らは魅力的に映るのだ。

『ダイ・ハード』(脚本:ジェブ・スチュアート/スティーヴン・E・デ・ソウザ)を見る観客は、ジョン・マクレーンが生き残れるのか心配になる。というのも占拠されたビルには、マクレーンを必死に始末しようする悪者が大勢いるからだ。ここで大切なのは、観客がマクレーンに本当に感情移入し、同情している点である。この作品で最も重要なシーンは、マクレーンがトイレで殴られ血だらけになるシーンだろう。形勢は明らかに不利である。弱りきったマクレーンは、パトカーで待機している警官のパウエルに無線で連絡を取る。そして、よい夫になれなくてすまない、と妻に伝えてくれと言う。「彼女は俺みたいなろくでなしに起こった最高の出来事だ」と。『ダイ・八ード』をきちんと分析してみると、実は妻とのやり直しを願う男のラブ・ストーリーだというつことがわかるだろう。

アクション・アドベンチャーの脚本は、アクションやバイオレンスだけでなく、登場人物・ストーリー・ドラマにも細心の注意を払わなければならない。だからこそ本書はとても重要な
のだ。本書があらゆるジャンルの脚本家にとって、バイブルとなるのもそう遠いことではないだろう。

クリストファー・ウェーナー(「スクリーンライターズ・ユートピア・コム」の編集者)

目次

はじめに─アクション・アドベンチャーのバイブル
1 なぜそう書くべきか
★……こんなの書く道具だよ。鉛筆とかそんなもの。僕に言わせれば喜びすぎね
2 観客がジャンルに期待するもの
★……時間があるから、出来事は同時に起こらない。空間があるから、全ての出来事があなたに起こるわけではないのだ
ジャンルの連続性 目に見えないものこそ、本当に手に入れたものである。
★……個人の苦悩を描いたジャンル ★……対人関係の葛藤を描いたジャンル
★……コメディドラマというジャンル ★……おとぎ話というジャンル
★……個人的な探求というジャンル ★……探偵というジャンル
★……ホラーというジャンル ★……スリラーというジャンル
★……アクション・アドベンチャーというジャンル ★……神に対する挑戦というジャンル
★……うまい嘘には千の事実の価値がある
★……まずやりたいことをするための方法を学びなさい。そうすればやりたいことができる
3 文化的背景を考える
★……映画と自明の運命 ★……私は私があることである
★……君はいつだって暴力を使う。餅米チキンを頼めばよかった
4 どこから生まれてきたのか
★……ストーリーを語るものは世界を制す
★……伝説が事実になったら、伝説を活字にするんだ
★……善悪が暴かれる瞬間 ★……人間はやるべきことをやらねばならない
★……伝統的な西部劇のストーリー ★……あの仮面の男は誰だったんだ?
★……それは君の災難であって、ぼくには何の関係もない
★……カウボーイ万事休す ★……俺たちは眠らない
★……心配無用 ★……これがリコの最期なのか? ★……悪党、マシンガン、拳銃
★……ファイティング・スピリット
5 どのようにストーリーを作るか
★……そして、だから、それから…
★……予想することは非常に難しい。とくに未来を予想することは
★……書くのは簡単だ。激情の滴が頭に浮かぶまで、ただじっと白紙を見つめていればいい
★……私はこれまでずっと言葉を見つめてきた。その一つ一つに初めて出会ったかのように
★……戦いの順序 ★……未来ってものは、次から次へとやってくる
6 アクションとは何か
★……何か起きるのだろうか? 決断というアクション
★……何も起らない??アクションの不在 ★……何かが起きるべきだ ??アクションのない葛藤
★……何かが起きる??俳優の動作というアクション
★……何かが起きなければならない?? プロットというアクション
★……努力して書いていないものは、読んでも満足しない
★……神の作り出すもの??天災というアクション
★……明らかに何かが起こっている??悲鳴というアクション
★……何かが起こるとなぜわかるのか???紙面に書かれたアクション
7 アクション・アドベンチャーの登場人物とは?
★……ストーリーを語るものは世界を制す
★……伝説が事実になったら、伝説を活字にするんだ
★……善悪が暴かれる瞬間 ★……人間はやるべきことをやらねばならない
★……伝統的な西部劇のストーリー ★……あの仮面の男は誰だったんだ?
★……それは君の災難であって、ぼくには何の関係もない
★……カウボーイ万事休す ★……俺たちは眠らない
★……心配無用 ★……これがリコの最期なのか? ★……悪党、マシンガン、拳銃
★……ファイティング・スピリット
8 夢のような冒険の世界を作る
★……映画は視覚的な媒体ではない ★……空気のような無に、存在する場所と名前を与える
★……信憑性を生みだす秩序
★……登場人物が歴史上実在の人物に似ていても、それは単なる偶然だ。もしストーリーが史実と違っていたとしても、それはそうあるべきだったのだし、脚本家はそんなことを気にもしていない
★……アクション・アドベンチャー 信憑性を生みだす秩序
★……どんな悪者も、屈することのない正義の味方を打ち負かすことはできない
★……イタリアの三十年のテロや虐殺などの結果、ミケランジェロ、ダヴィンチ、ルネッサンスが生まれた。スイスの五百年に及ぶ民主主義や人類愛や平和で、何が生まれた? 鳩時計だけさ
★……暴力VS結果
★……ひどい時代になったものだ。子供は親の言うことを聞かないし、みんな本なんか書いている
★……何か一つの方法を学べば、すべての方法につながる
エピローグ  二〇〇一年九月十一日
あとがき  ─アマンド・リー
訳者あとがき
映画題名索引/本書で言及されている映画
書き込み練習問題

プロフィール

[著]
ニール・D・ヒックス
アメリカ政府機関のトップ・シークレットの(当局からは、存在を否定されているものの) 仕事をしたあとで、当然のごとくニールはスリラーとアクション・アドヴェンチャー映画ならびに長編のテレビを専門とする脚本家になった。一九九六年、彼は同時期にナンバーワンのヒットとなった二本の作品の成功に貢献した。アメリカでのナンバーワン『レッド・ブロンクス』と、アジアのナンパーワン『ファイナル・プロジェクト」である。他のハリウッドで 脚本のクレディットを得た作品としては、クリフ・ロバートソンとスーザン・ブレイクリーの主演で高い評価を得た『悪女のシナリオ』、ピアース・ブロスナン出演の『偽りのプロフィール』がある。近年、ニールはヨーロッパのフィルムメイカーたちと仕事をしており、スカンジナヴィアの監督ポール・アンダース=シンマと”Ministern”を作ったほか、”Ice Frontier”が現在スウェーデンでプリ・プロダクションの段階にある。舞台の演出家としての仕事も幅広く、ギルバートとサリヴァンの『ミカド』やシェイクスピアの『じやじゃ馬ならし』などを手掛けている。ニールはUCLAのエクステンションのライターズ・プログラムの上級講師をつとめており、ここで傑出した講師として表彰されている。また、ノースウエスタン大学、 ウィスコンシン大学、デンヴァー大学、カリフォルニア州立大学、カナディアン・フィルム・アンド・テレビ・インスティテュートなどでも講座を担当し、ノルウェーの映画研究センター のアドヴァイザーでもある。