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あのころ、天皇は神だった

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第二次世界大戦中のアメリカで、強制退去によって追われた日系人の一家。
彼らはユタ州の砂漠にある収容所に送られる。家族それぞれの視点から語られる、有刺鉄線の内側で過ごす日々……。
オオツカの長編デビュー作、待望の新訳。

「かつて、「日本人」であるというだけで、囚われたひとたちがいる。かれらの普通の日々を狂わせたのは、「神」だった。」
――温又柔(小説家)

「歴史のけたたましい音の下でひっそりと息を殺していた、名もなき声の数々が、物語のなかでこだまする。不穏で、残酷で、そして美しい言葉が」
――藤井光(アメリカ文学研究者)

【メディア掲載】
◆2018年11月10日(土)の朝日新聞の書評でご紹介いただきました(評者:西崎文子さん)。
◆2018年11月16日号の『週刊金曜日』でご紹介いただきました(評者:倉本さおりさん)。
◆Numero TOKYOおすすめの11月の本でご紹介いたただきました。
◆『本の雑誌』12月号の「新刊めったくたガイド」でご紹介いたただきました(評者:江南亜美子さん)。
◆雑誌『Pen』〈2018年12/1号〉でご紹介いたただきました(評者:今泉愛子さん)。
◆2018年11月28日号の毎日新聞でご紹介いたただきました(評者:倉本さおりさん)。

【イベント】
■2018年11月16日(金)19:30~21:30(開場19:15)
場所:CAVA BOOKS(京都) 小竹由美子×温又柔×藤井光トークイベント
詳細はこちら

■2018年11月23日(金)19:00~21:00(開場18:30)
場所:B&B
小竹由美子×小林エリカ トークイベント
詳細はこちら


【ためし読み】
小竹由美子さんによる「訳者あとがき」全文を公開いたしました。
ためしよみはこちら


【内容紹介】
カリフォルニア州バークレーで暮らす日系アメリカ人家族に突然訪れた不幸。
パール・ハーバーの夜、父親が尋問のためFBIに連行された。
そして翌1942年春のある晴れた日、街のいたるところにあの告知が現れた。「強制退去命令十九号」。
残された母親とその子ども二人が、込み合う列車に乗り込み、たどり着いたのは、ユタの埃っぽい砂漠の有刺鉄線で囲われたバラックの町だった…。

「天皇が神だった」あの時代、名もなき家族の人生が深く、大きくゆさぶられる…。

『屋根裏の仏さま』でPEN/フォークナー賞を受賞した、ジュリー・オオツカのデビュー作が小竹由美子の新訳で復刊。

天皇は人間なのか、それとも神なのか?
太平洋で日本の戦艦が魚雷で撃沈されたら、嬉しいと思うか、悲しいと思うか?
この戦争はどちらが勝つと考えているか?
(本文より抜粋)

短評

名もなき人たちの声。それを聞き取ることが、現代の小説家のひとつの使命だとすれば、ジュリー・オオツカほどその使命に忠実であろうとする書き手は稀有である。

1942年、北カリフォルニアに暮らす日系人の一家が、強制退去によって家を追われる。母と娘と息子の三人は競馬場で厩舎に入れられ、そしてユタ州の砂漠にある強制収容所に送られる。父はひとりテキサスに連行されており、再会できる見込みはまったく分からない。

日本から渡った土地で築き上げてきたものすべてを一瞬で奪われたという現実は、分厚い壁となって一家の前に冷たく立ちはだかる。収容所での気候の厳しさ、終わりの見えない監禁生活、アイデンティティの二者択一を迫る暴力。戦後もつきまとう不安。そうした過酷な日々を、小説は余すところなく描き出す。そうした歴史の不正を描きつつ、オオツカの語りは決して史実の再現ドラマにありがちな感傷に浸ることはない。

母の声、娘の声、息子の声。物語は巧みに視点を変え、それぞれの登場人物の経験を浮き彫りにしつつ、彼らを取り巻く日系人や周囲のアメリカ人たちの声も拾い上げていく。けっして饒舌になることなく、さまざまな声が響き合う重層的な空間を作り上げ、言葉の残酷さと文章の美しさを同時に体感させること。歴史と物語のあいだの困難な綱渡りを、オオツカは完璧に成し遂げてみせている。

――藤井光(アメリカ文学研究者)

目次

強制退去命令十九号
列車
あのころ、天皇は神だった
よその家の裏庭で
告白
  訳者あとがき

PROFILE

【著者プロフィール】
ジュリー・オオツカ(Julie Otsuka)
1962年、カリフォルニア州パロアルトに生まれる。父は戦後渡米した一世で母は二世。イェール大学で絵画を学び、コロンビア大学大学院で美術学修士号取得。二人の弟は弁護士と政治哲学及び倫理学講師。2002年、大学院在学中に書き始めた本書でデビュー、注目を浴び、アレックス賞、アジア系アメリカ人文学賞を受賞。2004年、グッゲンハイム奨学金を受ける。2011年、二作目の『屋根裏の仏さま』を刊行、PEN/フォークナー賞、フランスのフェミナ賞外国小説賞、ドイツのアルバトロス文学賞ほかを受賞、全米図書賞最終候補となった。

【訳者プロフィール】
小竹由美子(こたけ・ゆみこ)
1954年、東京生まれ。早稲田大学法学部卒業。訳書にアリス・マンロー『イラクサ』『ディア・ライフ』『ジュリエット』、ジョン・アーヴィング『神秘大通り』『ひとりの体で』、ジュリー・オオツカ『屋根裏の仏さま』(共訳)、ネイサン・イングランダー『アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること』、ジム・シェパード『わかっていただけますかねえ』など。

あのころ、天皇は神だった

ジュリー・オオツカ=著|小竹由美子=翻訳

  • 四六版・上製|192頁|定価:2,300円+税|ISBN 978-4-8459-1706-8

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