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目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛をこめた一方的な手紙

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「どうしてヘレン・ケラーのようにできないの?」

常にヘレン・ケラーと比較され育った視覚障害をもつ著者が、「奇跡の人」という偶像へ、怒りと異議申し立ての手紙をつづり、架空の対話を試みる!

「偉人」ではない、一人の盲目の女性としてのヘレンの姿を鮮やかによみがえらせ、抑圧から魂を解き放つ、和解と再生の創造的ノンフィクション。


親愛なるヘレン・ケラー、
あなたは本当のことを語っていますか?


ヘレン・ケラーについてのあらゆる本、インタビュー、記事、その他の資料にあたってヘレンの実人生を研究しつくしてきた著者が、ときに視覚障害当事者としての自らの思いと重ね合わせながら、ヘレン・ケラーの人生の様々な局面をたどり直していく。これまで公に考えられてこなかった一人の女性としてのヘレンの喜び、苦しみ、悩み、挫折、野心やさらにはある「疑惑」や性の問題、秘めた恋愛、恩師サリヴァン先生との関係性などセンセーショナルな側面、そして誰もが避け得ない喪失と老いと死について……ヘレンと著者の二人の道行きとその果てに見た光景とは。苛烈で痛快、魂ゆさぶる再生の物語。

特別解説:伊藤亜紗 (東京工業大学科学技術創成研究院 未来の人類研究センター准教授)
「怒りから、そして愛へ。これほどまでに激しく、かつ綿密に練られた本が、他にあるだろうか。それは単に美しいだけではなくて、私たちの目を覚ます重要な指摘を含んでいる。」

◎「第1章 試練についての自覚」の冒頭部分を無料公開中です!
◎本屋「Title」店主、辻山良雄さんによる本書評はこちら
◎野中モモさんによる本書評はこちら
◎読者の方からいただいた感想はこちら

【メディア掲載】
★朝日新聞 2020年9月26日号 朝刊にて書評が掲載されました!(武田砂鉄さん)
模範を疑ってすくい出した想い
★サンデー毎日 2020年10月4日号「SUNDAY LIBRARY」にて書評が掲載されました!(岡崎武志さん)
「神格化された模範的障がい者という周りの善意の目が作った侵すべからざる幻想。それを打ち破り、神様とされた女性の身体感覚を生々しく描き出す著者の長い旅の記録である。」
★サイゾーウーマン 特集「サイジョの本棚」にて書評が掲載されました!(保田夏子さん)
「偉人」と呼ばれる女性たちの“人間臭い”裏の顔を暴く!

 私がこの本を書いたのは、ヘレン・ケラーという名の、私個人にとっての悪霊を追い払うためだ。ほとんどの人々が、不幸に直面した人間のもつ不屈の精神の象徴としてヘレン・ケラーを崇拝している。でも、私にとっての彼女は常に、私が見習うことを望みえなかった存在を意味していた。(中略)子どもの頃以来、彼女の名を始終引き合いに出されてきたが、それは自分がどれほど恵まれているかをありがたく思うべきだということを私に思い出させるためだった。そのせいで私は彼女に腹を立てていたし、彼女の生涯、とりわけ学校の教科書や『奇跡の人』のような人気の娯楽作品で目にするその生涯の説明は、真実としてはあまりにも話がうますぎると疑っていた。
 大人になってから、私は彼女の物語をもっと網羅的に研究し始めた。彼女自身が自叙伝的に書いた著作も、また彼女について刊行された多くの伝記も読んだ。多くの出来事や人間関係が、これまで私がずっと信じ込まされてきたものとは食い違って見えることがわかった。だが、そこにはまた何か失われているものもあった。それはまるで、彼女が自らを人々に感動を与える象徴的な存在だと考えており、そしてその象徴であるための必要性ゆえに、自身のいかなる怒りも恐れも、あるいは悲しみも、決して表に出せなかったかのようだった。彼女のような経験をすれば、どんな人であっても、こうした感情を抱いたであろうときでさえもそうだった。このことは私に、困惑と激しい怒りとをかわるがわるにもたらした。(……)
「はじめに 読者のための覚え書き」より

目次

はじめに 読者のための覚え書き

第1章 試練についての自覚
第2章 フルボディ・コンタクト
第3章 ポンプを駆動し続けて
第4章 手の記憶

日本語版解説(伊藤亜紗)

PROFILE

[著]ジョージナ・クリーグ(Georgina Kleege)
カリフォルニア大学バークレー校の英語講師。専門は、クリエイティヴ・ライティングと障害学(ディスアビリティ・スタディーズ)。2003年、同校の英語学科におけるクリエイティヴ・ライティングのクラスに加え、障害者をめぐる文学表現および障害者自身による文献を研究するコースで教鞭をとる。
最初の著作である『Sight Unseen』(Yale University Press, 1999)は、盲人としてのクリーグ自身の自叙伝的な記述とともに、文学、映画、言語学における視覚障害に関わる描写について文化的な批評も含んだエッセイ集。障害学のみならず、視覚と関わる文化、教育、公衆衛生、心理学、哲学、眼科学を学ぶ学生の必読書とされる。
『Blind Rage: Letters to Helen Keller』(Gallaudet University Press, 2006)では、障害者の象徴として名高いヘレン・ケラーの生涯と遺産を描き出すためにフィクションとノンフィクションの境界を越える取り組みを行なった。本書『目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛の一方的な手紙』はクリーグの初の邦訳書となる。
クリーグの最新作『More Than Meets the Eye: What Blindness Brings to Art』(Oxford University Press, 2018)は、視覚障害とヴィジュアル・アートの関係に関心を寄せた著作で、盲目であるということが美術作品のなかにいかに表されているか、視覚障害をもつアーティストの制作にとって、その障害がどのように影響を及ぼしているか、また盲人や視力障害のある人々がアートにアクセスしやすくできるよう、美術館や博物館に何ができるかをテーマとしている。クリーグはこれまで、こうしたテーマで講演を行なうほか、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのテート・モダンをはじめとした世界中の美術機関で顧問も務めてきた。
2013年にはカリフォルニア大学バークレー校の芸術・人文科学学部において、また2016年には同校の全キャンパスにおいて最優秀教員賞を受賞している。

[訳]中山ゆかり
翻訳家。慶應義塾大学法学部卒業。英国イースト・アングリア大学にて、美術・建築史学科大学院ディプロマを取得。訳書に、フィリップ・フック『印象派はこうして世界を征服した』、フローラ・フレイザー『ナポレオンの妹』、レニー・ソールズベリー/アリー・スジョ『偽りの来歴 20世紀最大の絵画詐欺事件』、サンディ・ネアン『美術品はなぜ盗まれるのか ターナーを取り戻した学芸員の静かな闘い』(以上、白水社)、デヴィッド・ハジュー『有害コミック撲滅! アメリカを変えた50年代「悪書」狩り』(共訳、岩波書店)、ルース・バトラー『ロダン 天才のかたち』(共訳、白水社)、フィリップ・フック『サザビーズで朝食を』『ならず者たちのギャラリー』、マーク・エヴァニア『ジャック・カービー アメコミの“キング”と呼ばれた男』(以上、フィルムアート社)など。

全国の書店員さんからの声

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何と激しく、愛に満ちた一冊だろう。怒りの火からはじまった手紙は、やがて“特別”という悪霊に取り憑かれた全ての人を解き放とうとする祈りのように閉じられる。ここに描かれた自由と尊厳を巡る思索の手触りを、忘れずにいたいとそう思った。

(toi books 磯上竜也さん)

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綴られてゆく一行一行すべてが精神のピークに達しているようで完全に圧倒された。
どうしたらこんな文章が書けるんだろう。
“障害の本”とか“フェミニズムの本”とか表面的なジャンルを振り切って、
見てみぬふりされてきたこの世界の綺麗ごとを根本から問う、
限界ギリギリの「魂の書」としか言いようがない。

(紀伊國屋書店 新宿本店 梅崎実奈さん)

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ヘレン・ケラーについての数ある自伝のなかで行間からこぼれ落ちた真実に、同じく障害者としてヘレンなき今を生きる著者の声が添えられることで出来上がった新しい物語。
このフィクションのなかには、奇跡のひととして神話化したヘレンではない、本当の彼女の姿があるのかもしれない。
誰もが生まれてきただけで奇跡的な存在であると、多くのわたしたちを励ます一冊です。

(SUNNY BOY BOOKS 高橋和也さん)

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「ヘレン・ケラー」ってこんなに面白い人だったんだ。
そうした新鮮さが、この本を読んでいるあいだ、ずっと心から離れなかった。

(Title 辻山良雄さん)

★全文はこちら

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異なる感覚で世界を享受する人への、過度な期待も不必要な憐れみも、誤った固定観念も、ひとつひとつ剥がしていかなければならない。
怒りと愛と対話の先に、誰もがありのままの姿で一人の人として向き合える未来がある。

(代官山 蔦屋書店 宮台由美子さん)

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目の見えない私がヘレン・ケラーにつづる怒りと愛をこめた一方的な手紙

ジョージナ・クリーグ=著|中山ゆかり=訳|伊藤亜紗=特別解説

  • 四六判・並製|416頁|定価:2,000円+税|ISBN 978-4-8459-1919-2

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