ぼくらがアニメを見る理由

2010年代アニメ時評

藤津亮太=著
発売日
2019年8月24日
本体価格
2,400円+税
判型
四六判・並製
頁数
404頁
ISBN
978-4-8459-1836-2
Cコード
C0074
刷数
2刷

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『まどマギ』から『天気の子』まで

ぼくらはどうしてアニメを見つづけるのか?
2010年代のアニメはなぜ/何が面白いのか?

国内外、あらゆるジャンルのアニメを縦横無尽に見つめる著者による、
2010年代アニメをいま改めて「言葉でつかまえる」ための、壮大なスケッチがここに。

「藤津さんならではの明晰でフラットな視点が、
『知ってるつもり』だった作品たちの輪郭を、
改めてくっきりと浮かび上がらせてゆく!
——この風通しの良さこそ、
いま必要とされる『批評』の仕事だと思う。」
宇多丸ラッパー/「アフター6ジャンクション」パーソナリティー)推薦!!

☆☆☆発売2週間で重版決定!☆☆☆

『君の名は。』『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『この世界の片隅に』『海獣の子供』などの劇場作品から、 『魔法少女まどか☆マギカ』『おそ松さん』『けものフレンズ』『宇宙よりも遠い場所』などTV放映作品、 『父を探して』『LEGO® ムービー』『スパイダーマン:スパイダーバース』などの海外作品まで、 2010年代アニメの何が人を惹き付けてきたのか。

本書はアニメ評論家として活動する筆者が、2010年代アニメ作品を多様な視点で読み解く一冊です。

人気連載「アニメの門」で展開された時評、そして各種雑誌等に掲載された論考を中心に加筆・修正を行い、 2010年代が終わりを迎えようとしている今、この10年間のアニメを改めてみつめなおし、 その広大な流れを掴むために絶好の一冊となっています。

本書で言及される作品(順不同)

『星を追う子ども』 『君の名は。』 『天気の子』 『かぐや姫の物語』 『風立ちぬ。』 『ハウルの動く城』 『思い出のマーニー』 『この世界の片隅に』 『リズと青い鳥』 『たまこまーけっと』 『たまこラブストーリー』 『リズと青い鳥』 『おおかみこどもの雨と雪』 『バケモノの子』 『未来のミライ』 『鉄コン筋クリート』 『true tears』 『魔法少女まどか☆マギカ』 『輪るピングドラム』 『虹色ほたる~永遠の夏休み~』 『エウレカセブンAO』 『HUNTER×HUNTER』 『SHIROBAKO』 『ラブライブ!The School Idol Movie』 『心が叫びたがってるんだ。』 『甲鉄城のカバネリ』 『コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』 『けものフレンズ』 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 『さよならの朝に約束の花をかざろう』 『宇宙よりも遠い場所』 『海獣の子供』 『男子高校生の日常』 『ガッチャマン クラウズ』 『サムライフラメンコ』 『アイカツ!』 『THE IDOLM@STER』 『Wake Up, Girls!』 『ラブライブ!』 『アルドノア・ゼロ』 『ガールズ&パンツァー これが本当のアンツィオ戦です!』 『ルパン三世 PART Ⅳ』 『おそ松さん』 『リトルウィッチアカデミア』 『ルパン三世 PART 5』 『涼宮ハルヒの憂鬱』 『日常‐nichijou‐』 『宇宙戦艦ヤマト2199』 『花とアリス殺人事件』 『監獄学園』 『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』 『甲鉄城のカバネリ』 『ゴッドイーター』 『バーチャルさんはみている』 『プロメア』 『マクダル パイナップルパン王子』 『シュガーラッシュ』 『パラノーマン ブライス・ホローの謎』 『LEGO® ムービー』 『父を探して』 『ズートピア』 『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』 『スパイダーマン:スパイダーバース』……

メディア掲載


目次

はじめに

第一部 2010年代のアニメ作家たち

■『天気の子』『君の名は。』―新海誠の周辺
モノローグのなくなった世界で―『星を追う子ども』/”新海誠らしさ”とは何か/新海誠作品に見る”実体のない喪失感”と”世界の広がり”―『君の名は。』/非対称な「入れ替わり」と「当事者性」―『君の名は。』/「あえて間違うこと」で守られる聖域―『天気の子』

■『かぐや姫の物語』『風立ちぬ』―2010年代のスタジオジブリ
宮崎駿のSHOWTHEFLAG―『ハウルの動く城』/幻視の中で手を伸ばして―『風立ちぬ』/たけのこの「ふるさと」―『かぐや姫の物語』/高畑勲の描いた「普通」と「理想」/不思議な宙づり感覚のわけ―『思い出のマーニー』

■『この世界の片隅に』―片渕須直のいるところ
アニメ史の中の『この世界の片隅に』/すずの右手と世界の繋がり―『この世界の片隅に』

■『リズと青い鳥』―山田尚子の歩み
柔らかに描き出される時間と人々―『たまこまーけっと』/「変わること」を受け入れること―『たまこラブストーリー』/みぞれと希美の距離感を巧みに描く、映像言語の饒舌さ―『リズと青い鳥』

■『未来のミライ』―細田守の道
「おおかみこども」と「母」と「花」―『おおかみこどもの雨と雪』/「神の手」は大衆を救う―『バケモノの子』/これは”家族”の物語ではない―『未来のミライ』

第二部 作品は語る

■アニメの描くもの
眼を閉じることと開くこと―『鉄コン筋クリート』/その語り口を目だけでなく、音でも聞き分けるために―『truetears』/魔法少女たちに永遠の花束を―『魔法少女まどか☆マギカ』/リンゴ、毛糸、花びら、炎―『輪るピングドラム』/アニメーションの輝きが照らす問題―『虹色ほたる~永遠の夏休み~』/アオが見つけた青い鳥―『エウレカセブンAO』/言葉と「間」―『HUNTER×HUNTER』/三つのレイヤーで描かれるひとつの普遍的な物語―『SHIROBAKO』/μ’s色に上書きされる世界―『ラブライブ!TheSchoolIdolMovie』/言葉と心の”不調和”をめぐる物語―『心が叫びたがってるんだ。』/”強者”と”弱者”の物語―『甲鉄城のカバネリ『』コンクリート・レボルティオ~超人幻想~』/「人間ごっこ」が「人間らしさ」へ移り変わる瞬間―『けものフレンズ』/”自由をめぐる物語”の再構築―『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』/”母”ではなく、”娘”の物語として―『さよならの朝に約束の花をかざろう』/眼の前にいない友達について考えること―『宇宙よりも遠い場所』/波打ち際から覗き込まれる”祭り”―『海獣の子供』

■キャラクターの風景
記号と肉体の産物としての「キャラクター」―『男子高校生の日常』/ヒーローへの感染―『ガッチャマンクラウズ『』サムライフラメンコ』/「アイドル」の〈あり方〉―『アイカツ!』『THEIDOLM@STER』『WakeUp,Girls!『』ラブライブ!』/ロボットバトルにおける説得力―『アルドノア・ゼロ』『ガールズ&パンツァーこれが本当のアンツィオ戦です!』/内面のない厄介な男―『ルパン三世PARTIV』/アニメで演じられるコント―『おそ松さん』/未熟なアッコを主人公たらしめたもの―『リトルウィッチアカデミア』/ルパン・イズ・フォーエヴァー―『ルパン三世PART5』

■アニメの表現と周辺
アニメにとってのハルヒ、ハルヒにとってのアニメ―『涼宮ハルヒの憂鬱』/帰ってきた「日常」―『日常‐nichijou‐』/「呪い」を解いた新たなテーマ―『宇宙戦艦ヤマト2199』/アニメーションの事件―『花とアリス殺人事件』/画面に「うつるもの」と「出せないもの」の境界―『監獄学園』『下ネタという概念が存在しない退屈な世界』/キャラクターの情報量をいかに制御するのか―『甲鉄城のカバネリ』『ゴッドイーター』/”ベストテン”とはどうあるべきか?―「映画芸術」アニメ除外問題が浮き彫りにしたもの/これはアニメなのか―『バーチャルさんはみている』/圧倒的熱量を支える”ルックの説得力”―『プロメア』

■2010年代海外アニメーション
マクダルの冷や汗―『マクダルパイナップルパン王子』/対照的なエンターテインメント―『シュガー・ラッシュ』『パラノーマンブライス・ホローの謎』/「大人の趣味」と「子供の遊び」の葛藤―『LEGO®ムービー』/せめぎ合いこそが人生―『父を探して』/トーキング・アニマルの仕掛け―『ズートピア』/貴種流離譚としての物語構造―『KUBO/クボ二本の弦の秘密』/「すべての映画がアニメになった」後に―『スパイダーマン:スパイダーバース』

あとがき

プロフィール

藤津亮太(ふじつ・りょうた)
1968年生まれ。アニメ評論家。著書に『「アニメ評論家」宣言』(扶桑社)、『チャンネルはいつもアニメ』(NTT出版)、『声優言』(一迅社)、『わたしの声優道』(河出書房新社)がある。各種カルチャーセンターでアニメの講座を担当するほか、毎月第一金曜日に『アニメの門チャンネル』で生配信を行っている。