動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話

生き物たちの終末と進化の科学

ジュールズ・ハワード=著
中山宥=訳
発売日
2018年4月26日
本体価格
2,100円+税
判型
四六判・並製
頁数
356頁
ISBN
978-4-8459-1638-2
Cコード
C0045
刷数
5刷

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死なないように進化できないのはなぜか?
生物に共通して訪れる「死」を見つめ、大きな連鎖のなかからその死が果たす役割について考えていく。

あらゆる生物の知られざるエピソードを、ユーモア交えて紹介する、情熱に溢れた1冊。
生き物たちの死と生をめぐる驚くべき冒険の旅へ!

☆ BBCをはじめ英国メディア絶賛の科学エッセイが待望の邦訳!
☆ 発売後、Amazonランキング「動物学」部門において第1位!

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福岡伸一氏推薦!
シュレディンガーの本質的な問いかけ「生命とは何か」から始まっていることに心底しびれた。「死」をエントロピーから捉え直した画期的な論考。
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私たちは古代から、飢餓、かんばつ、震災、戦争などを経て、争いのなか生き残ってきました。
しかし、ある動物は大人としてたった2時間だけ生きたり、ある動物は時間が来たら自ら命をたつ特徴をもっていたりします。一方で、何百年もの間生きる動物もいます。動物に取り付いて残酷な死に方をさせるような寄生虫もいれば、長く健康な人生を送らせるために取り付く寄生虫もいます。

人生における死が、色々な形で存在しているのです。

私たち(=直立した類人猿)はおそらく、結局は死ぬ、ということがみんなに起こるという事実を意識している宇宙の歴史の最初の動物です。
本書は、そんな私たちを含む、死をめぐる極上の物語。

・生命の定義、「自己複製」ができないラバは生きていると言えるのか?
・数世紀も休眠するブラインシュリンプ(小型の甲殻類)はいつ「死んだ」と判断できる?
・白内障の魚への義眼移植手術から考える「老化」の研究の歴史
・twitterで鳥の死骸を手に入れる話
・寄生生物は本当に「死の代理人」か?
・世界最古の動物ミンと、癌にかからないハダカデバネズミ

本書には生命がほとばしっている。著者のジュールズ・ハワードは、あるときは防水ズボンを穿いてブタの腐乱を観察し、またあるときはカササギの死骸を抱きかかえ、ほかの鳥の反応を調べるために林をさまよう。生き物たちの終末と再生を見極めようとする、途方もない情熱に満ちた一冊。
——キャサリン・ノーベリー、『The Fish Ladder』著者

ジュールズ・ハワードは、死を見つめつつも、生の驚異や活力を賛美する。人体内の細胞から、長寿命の二枚貝、さらにはハダカデバネズミまで、さまざまな題材をもとに、わたしたちが何を学びとれるかを解き明かしていく。その内容を追ううち、読者は、あらゆる美しい物語と同じくなぜ命には終わりがあるのか、しみじみと理解できるだろう。
——ブライアン・スウィーテク、『愛しのブロントサウルス』著者

本書は、われわれ人間が何者で、どうして特別なのか——あるいは、特別でないのか——を、ほかの生き物たちと比較して教えてくれる。
——ミーガン・ローゼンブルーム、“デス・サロン”主宰

信じられないほど情熱的でみずみずしい本。生き物の死は想像を超えて多種多様であることを教えてくれる。
——「デイリー・メール」

笑いを誘う、巧みな文章。それでいて、科学に満ちている。心の底から楽しめる本だ。
——「ディスカバー・マガジン」

生命は「いずれ消えておしまい」ではない。そんな事実を示す、知られざるエピソードが盛り沢山。読んでいるうち、つい引き込まれる。わたしたちの必然の運命を、あらたな、より明るい角度から眺められるようになる。
——「BBCワイルドライフ」

「死」はたいてい暗い話題だが、本書は端々までユーモラス。ウイットと気配りにあふれており、信頼できる科学的な考え方がつづられている。悲しいテーマを深刻にならず追究したい人に、うってつけの読み物。
——「ライブラリー・ジャーナル」

とにかく、目からウロコ。愛情と楽しさとユーモアがいっぱい(不愉快さはゼロ)。ふだんなら(死ぬほど怖くて)目をそむけているテーマなのに、筆者に導かれて旅する死の世界は、びっくりするくらい親しみやすく、不思議に痛快だ。
——コリン・マッケイブ「サイエンス・マガジン」

メディア掲載


目次

序文

Part 1 これはカエルの死骸です
1 宇宙における生と死
2 老齢と、幸運な一部を待ち受ける運命
3 バーチウッドの恐怖と嫌悪
4 遊離基の謎
5 これは死んだカササギです

Part 2 実験用ブタたち
6 テントの下のサーカス
7 性と死 ─ 死神との契約
8 ゴケグモ記者とコーヒーを
9 自殺:シロフクロウと体内に棲む藻
10 アカトビと娘の排泄物
11 ホラアナサンショウウオとグアノ
12 ホリット・グランドウィーバー
13 暗黒物質

Part 3 シタティテスの先端をめざす旅
14 死んだアリの運び出し
15 喪が終わるとき
16 人は不死を願うか?
17 いいえ、これはカエルの死骸です

終わりに

プロフィール

[著]
ジュールズ・ ハワード(Jules Howard)
動物学者。ブログ、雑誌、ラジオ、テレビその他で幅広く活躍中。動物学や野生動植物の保護をテーマに多くのコラムを執筆するかたわら、BBCワイルドライフ・マガジン誌、ガーディアン紙などに定期的に寄稿し、『BBCブレックファースト』『サンデー・ブランチ』『BBC 5ライブ』といったラジオ・テレビ番組に出演している。また、子供たちを動植物に親しませる活動を主宰しており、その参加者はのべ10万人近くにのぼる。ほかの学者と同じように、バードライフ・インターナショナル、英国鳥類保護協会、ロンドン動物学協会などの団体とも関わりが深い。ただ、ほかの学者と違って、カエル専門の電話相談を3年間担当し、世間の人々の(おもにカエルにまつわる)悩みを解消してきたという異色の経歴を持つ。本書は2冊目の著作にあたる。

[訳]
中山宥 (なかやま・ゆう)
翻訳家。1964年生まれ。 主な訳書に『マネーボール[完全版]』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)、『究極のセールスマシン』(海と月社)、『〈脳と文明〉の暗号』(講談社)、『ジョブズ・ウェイ』(SBクリエイティブ)、『生きものたちの秘められた性生活』(角川書店)などがある。