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翻訳のスキャンダル

差異の倫理にむけて

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「よい翻訳」とはなにか?
翻訳研究(トランスレーション・スタディーズ)の第一人者による代表的著作にして古典、待望の邦訳!
差異を見つめ、よく読み、よく訳すための必読書。



翻訳がなぜスキャンダラスなのか──それは世界の文化、政治、経済を覆う不平等を暴いてしまうからだ。

本書の著者、ローレンス・ヴェヌティは、翻訳研究の第一人者のひとりである。
ヴェヌティは言う──現今翻訳が置かれている状況こそ、スキャンダルなのだ。
企業や政府、宗教団体、出版社などは、いまや翻訳なしには成り立たない。
だがそれゆえに、翻訳に着目することで、それらが暗黙の裡に依拠する不均衡が暴かれる。

聖書、ホメロスの詩、プラトンの議論、ウィトゲンシュタインの理論、日本や西アフリカの小説、広告、ビジネス・ジャーナリズム……
多様な分野の事例を通じて、複雑でデリケートな諸問題が追及される。

世の主流の価値観におもねる「同化」的圧力に抗して、マイノリティの声に耳を傾け、多様性を擁護する「異化」的翻訳を提唱する本書こそ、グローバル時代を生きるために必読の書である。

「翻訳は、著作権法に疎まれ、学術界では軽視され、出版社や企業、政府、宗教団体からは搾取されるという烙印を押されている。思うに、翻訳があまりにも不利なあつかいを受けているのは、支配的な文化的価値観や制度の権威に疑念をいだく気づきを引きおこすからだ。」(イントロダクションより)

本書で著者が暴く「翻訳のスキャンダル」とはなにか。それは世界の文化、政治や経済を覆う不均衡だ。世界で流通する翻訳のうち、英語からの翻訳が圧倒的な割合を占める反面、英語への翻訳は少なく、全書籍の三パーセント以下である。そして、その割合としては少ない翻訳においても、英訳はさまざまな制約や制限をうけてしまう。本書で著者はその不均衡を──翻訳が文化にとりこまれ、あるいはとりこまれたように見せて文化を改変する様子を──克明に描き出している。
(訳者あとがきより)

目次

イントロダクション

第一章 異種性
 マイナー文学を書くということ/マイノリティ化プロジェクト/言語学の限界/科学的モデル

第二章 著者性
 二次的な著者性/学問のバイアス/翻訳の再定義

第三章 著作権
 現況/矛盾まみれの「独自な著者性」/翻訳者の著者性の根拠/救済策

第四章 文化的アイデンティティの形成
 外国文化の表象/国内の主体の創造/翻訳の倫理

第五章 文学の教育
 教室での翻訳/翻訳文学の教育学

第六章 哲学
 翻訳により得られるもの/哲学翻訳の方略

第七章 ベストセラー
 受容/編集と翻訳/ハイブラウのベストセラー

第八章 グローバリゼーション
 商業と文化の非対称/トランスナショナル・アイデンティティ/抵抗としての翻訳/モダニティを翻訳する/場所の倫理

訳者あとがき 秋草俊一郎 

PROFILE

【著書プロフィール】
ローレンス・ヴェヌティ(Lawrence Venuti)
1953年生まれ。コロンビア大学で博士号取得後、テンプル大学で40年にわたって教鞭をとった。現在はテンプル大学名誉教授。北米における翻訳研究(トランスレーション・スタディーズ)の第一人者として知られ、その同化・異化概念は後続の研究に影響をあたえた。著書に『翻訳者の不可視性──ある翻訳の歴史』(1995)、『翻訳はすべてを変える──理論と実践』(2013)、編著に『トランスレーション・スタディーズ・リーダー』(初版2000、第4版2021)がある。自身、イタリア語・フランス語・カタルーニャ語の翻訳者としても活動し、数々の賞を受けている。

【訳者プロフィール】
秋草俊一郎(あきくさ・しゅんいちろう)
1979年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(文学)。
現在、日本大学大学院総合社会情報研究科准教授。専門は比較文学、翻訳研究など。
著書に、『「世界文学」はつくられる 1827–2020』、『アメリカのナボコフ──塗りかえられた自画像』など。訳書にクルジジャノフスキイ『未来の回想』、バーキン『出身国』、アプター『翻訳地帯──新しい人文学の批評パラダイムにむけて』(共訳)、レイノルズ『翻訳──訳すことのストラテジー』などがある。

柳田麻里(やなぎた・まり)
1988年生まれ。上智大学国際教養学部卒業、日本大学大学院総合社会情報研究科博士前期課程修了。現在、出版物やメディカル文書の翻訳者として活動中。

翻訳のスキャンダル
差異の倫理にむけて

ローレンス・ヴェヌティ=著|秋草俊一郎・柳田麻里 =訳

  • 四六判・並製|408頁|本体:2,600+税|ISBN 978-4-8459-2106-5

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