クリティカル・ワード 現代建築

社会を映し出す建築の100年史

山崎泰寛/本橋仁=編著
勝原基貴/熊谷亮平/吉江俊=著
発売日
2022年3月23日
本体価格
2,200+税
判型
四六判・並製
頁数
328頁
ISBN
978-4-8459-1812-6
Cコード
C0052
刷数
2刷
[クリティカル・ワード]5冊セット(20%OFF)

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現代建築を知るための235のキーワード!

都市、技術、政治、文化、メディア。5つの切り口で建築の現代(いま)に迫る。

基本用語から、時事、サブカル、最新テクノロジーまで、建築を取り巻く幅広いトピックを一冊で学べる“クリティカル”なキーワード集。

建築は、複雑な社会との応答関係のなかで生まれる。1920年代から2010年代までの100年に起きた建築にまつわる出来事を厳選し、コンパクトに収録。現代建築へ至る100年史を10年ごとに区切り、各時代の建築を理解するための重要なキーワードを、すべて書き下ろしのテキストで解説します。

都市、技術、政治、文化、メディアという5つの分野を専門とする、5人の著者がキーワードを選定し執筆。また各著者による、100年を串刺しにした巻頭論文も収録しました。235に渡るキーワードは、建築だけでなく関連分野にも踏み込んでいるため、人文や社会、芸術などそれぞれの学問分野に関心のある方にもおすすめの一冊です。

建築関係者はもちろん、学生や社会人、近現代建築ファンにとっても必携の、充実のキーワード集の誕生です!

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◆シリーズ[クリティカル・ワード]
現代社会や文化および芸術に関わるさまざまな領域を、[重要用語]から読み解き学ぶことを目指したコンパクトな入門シリーズです。

基本的かつ重要な事項や人物、思想と理論を網羅的に取り上げ、歴史的な文脈と現在的な論点を整理します。もっと深く理解し、もっと面白く学ぶために必要な基礎知識を養い、自分の力で論じ言葉にしていくためのヒントを読者に提供する新しい入門書です。

メディア掲載


目次

はじめに──建築から社会を見る、その態度についての補記

論考1 国土の破壊と再編
近代化とその両義性の都市論
──合理化とヒューマニティ、消費と主体性をめぐって  吉江俊
論考2 国境の無効と固執
近現代技術における普遍性と多様性の模索と実現  熊谷亮平
論考3 権力の顕示と弱体
DXと分散型社会、メタバースがもたらす建築の新たな地平  勝原基貴
論考4 経済の成長と衰退
「ハイそれまでョ」と、割食う建築家の大正・戦後・現代  本橋仁
論考5 メディアの発生と展開
知のゆりかご
──建築メディアの100年史  山崎泰寛

第1章
1920年代──二つの災禍から始まる日本のモダニズム
装飾と犯罪/ドミノシステム/外装タイル/植民地建築/第三インターナショナル記念塔/都市計画法と市街地建築物法/分離派建築会/民家/平和記念東京博覧会/関東大震災/帝都復興院/バラック/考現学と生活学/田園都市株式会社/帝国ホテル/建築をめざして/モダニズム建築/シュレーダー邸/近隣住区論/シカゴ学派/バウハウス・デッサウ校/エスプリ・ヌーヴォー館/明治神宮外苑/近代建築の五原則/ヴァイセンホーフ・ジードルンク/映画『メトロポリス』と機械美/CIAM/聴竹居/SRC造/バルセロナ・パビリオン

第2章
1930年代──都市文化の爛熟 国家と消費社会の表現
アウトバーン/大大阪/アールデコ/スカイスクレイパー/阪神間モダニズム/銀座/東京中央郵便局/新建築工芸学院/乾式工法と市浦健自邸/インターナショナル・スタイル/ニューヨーク近代美術館/アテネ憲章/ブルーノ・タウト来日/函館大火/築地本願寺/光のカテドラル/国会議事堂と帝冠様式/黒部川第二発電所/パリ万国博覧会日本館/東京オリンピック中止/新興工業都市計画/ジョンソンワックス本社ビル

第3章
1940年代──第二次世界大戦を経て、民へ
空間・時間・建築/伝統・選択・創造展/国民住宅/住宅営団/大東亜建設記念営造計画/レーモンドと第二次世界大戦/建物疎開/原爆ドームとアウシュヴィッツ/GHQ/闇市/衛生陶器と伊奈製陶所/建築計画学/ケース・スタディ・ハウス/昼の都市・夜の都市/プレモス/紀伊國屋書店/新日本建築家集団/近代建築論争(民衆論争)/アパルトヘイト/建設省/戸山ハイツ

第4章
1950年代──都市・建築の55年体制 戦後復興の志向
建築基準法/住宅政策の三本柱/住宅金融公庫と自邸/木賃アパート/八勝館御幸の間/神奈川県立近代美術館/51C型と住宅産業/アルミサッシュと工業化住宅/ジャパニーズ・モダン/チームX/ブルータリズム/SHシリーズ/昭和基地と川合健二/世界平和記念聖堂/伝統論争と原爆堂/国際文化会館/広島平和記念公園および資料館/丹下健三と技術/現場打ちコンクリート/秩父セメント第二工場/ヴェネチア・ビエンナーレ日本館/シチュアシオニスト/新建築問題/東京タワー/郵政スタイル/人民大会堂

第5章
1960年代──オリンピックに見た夢 高度成長期の都市で
メタボリズム/群造形/か・かた・かたち/オープンシステム/八郎潟と干拓事業/市浦健と千里ニュータウン/アメリカ大都市の死と生/アーキグラム/苗場プリンスホテル/建物区分所有法/住宅は芸術である/建築家なしの建築/カーテンウォール/ユニットバス/東京オリンピック1964/日本武道館/京都タワー/ハイレッド・センター/ジャズ喫茶・クラブ/博物館明治村/ヒルサイドテラス/塔の家/空間から環境へ/フラー・ドーム/ホール・アース・カタログ/プレファブリケーション/霞が関ビル/帝国ホテルの様式保存/月面着陸

第6章
1970年代──巨大化する見えない国土
ポストモダニズムの潮流/大阪万博/広場/まちづくり/原広司と集落調査/都市住宅/セキスイハイムM1/列島改造論/見えない都市/神殿か獄舎か/大石寺正本堂/基町・長寿園団地/住宅双六/プーライエ/孤風院/ツーバイフォー/巨大建築論争/重要伝統的建造物群保存地区/KEP/幻庵・開拓者の家/セゾン美術館(西武美術館)/ポンピドゥー・センター/パタン・ランゲージ/錯乱のニューヨーク/プリツカー賞

第7章
1980年代──超芸術トマソン 都市の奪還を目指して
広告=都市/神戸ポートアイランドと水谷頴介/地区計画制度/生闘学舎・자립/ゲニウス・ロキ/名護市庁舎/ホテルニュージャパン火災/風景学/ラ・ヴィレット公園国際設計コンペティション/ハイテック・スタイル/批判的地域主義/東京ディズニーランド/超芸術トマソン/AT&Tビル/九龍城砦/東京画/ルーヴル美術館(増築)/チェルノブイリ/リゾート法/OMソーラー/DOCOMOMO/くまもとアートポリス/シムシティ/ベルリンの壁崩壊

第8章
1990年代──世界都市博覧会 バブル崩壊と止まる時代
東京都庁舎/ANY会議/梅田スカイビル/ハイパービルディング/TOKYO STYLE/新宿西口ダンボール村/阪神・淡路大震災/開放系技術/オウム真理教とガリバー王国/世界都市博覧会/CAD/ビルバオ・グッゲンハイム美術館/メイド・イン・トーキョー/没場所性と郊外化/ジェントリフィケーション/近代化遺産/ブラウンフィールドとニューアバニズム/腰巻き保存/建築基準法改正・性能規定

第9章
2000年代──グローバル化する都市 CCTV的なるもの
アメリカ同時多発テロ/せんだいメディアテーク/サード・プレイス/ソーシャル・キャピタル/都市再生特別措置法/お台場/タワーマンション/ショッピングセンター/リノベーション/大改造‼︎劇的ビフォーアフター/限界集落/地域アート/金沢21世紀美術館/アルゴリズミック・デザイン/耐震改修/構造計算書偽造問題/東京駅復原/中国中央電視台/ウィキペディア/ザ・タワー

第10章
2010年代──世界を見渡す技術と公共性のゆくえ
東日本大震災/コミュニティデザイン/シェア/PPP・PFI/オールドタウン/少子高齢化とおひとりさま/建築展の隆盛/国立近現代建築資料館/Google Earth/BIM/デジタル・ファブリケーション/三菱地所を見に行こう/虎ノ門ヒルズ/豊洲移転/ル・コルビュジエ世界遺産/エストニア国立博物館/京都市立芸術大学移転/銀座ソニーパーク/東京オリンピック2020・新国立競技場問題

おわりに
図版出典
参考文献

プロフィール

[編著]
山崎泰寛(やまさき・やすひろ)
滋賀県立大学准教授、博士(学術)。専門は建築メディア論。横浜国立大学教育学部卒業、京都大学大学院教育学研究科修了、京都工芸繊維大学大学院博士後期課程修了。建築ジャーナル編集部、京都工芸繊維大学KYOTO Design Labを経て現職。著書に『リアル・アノニマスデザイン:ネットワーク時代の建築・デザイン・メディア』(共編著、学芸出版社、2013年)、『「住む」ための事典』(共著、2020年、彰国社)『日本の図書館建築』(共著、2021年、勉誠出版)

本橋仁(もとはし・じん)
博士(工学)。専門は日本近代建築史。メグロ建築研究所取締役、早稲田大学建築学科助手、京都国立近代美術館特定研究員を経て無職。現在は文化庁在外芸術家研修員としてThe Canadian Centre for Architecture (CCA)に滞在。作品に「旧本庄商業銀行煉瓦倉庫」(1896年竣工、2017年改修)、著書に『ホルツ・バウ 近代初期ドイツ木造建築』(共編著、ガデン出版、2020年)、キュレーションした展覧会に「分離派建築会100年 建築は芸術か?」(京都国立近代美術館、パナソニック汐留美術館、朝日新聞社、2020年)など。

*

[著]
勝原基貴(かつはら・もとき)
千葉大学特任研究員、博士(工学)、一級建築士。専門は近代建築史。日本大学理工学研究所、文化庁国立近現代建築資料館を経て現職。著書に『分離派建築会:日本のモダニズム建築誕生』(共著、京都大学出版会、2020年)、『日本のインテリアデザイン全史』(共著、柏書房、2018年)。論文に「大正・昭和戦前期における岸田日出刀の近代建築理念に関する研究」(博士論文、2016年)、「『過去の構成』と『現代の構成』」(森美術館、2018年)、「岸田日出刀の建築教育に現れたるル・コルビュジエ」(文化庁国立近現代建築資料館、2015年)など。

熊谷亮平(くまがい・りょうへい)
東京理科大学工学部建築学科准教授、博士(工学)、専門は建築構法計画。東京都立大学卒業、東京大学大学院博士課程修了。2009年より東京理科大学助教を経て現職。著書に『日本の近代・現代を支えた建築─建築技術100選─』(共著、日本建築センター、建築技術教育普及センター、2019年)、『霞が関ビルディング』(共著、三井不動産、2018年)、『理工系の基礎 建築学』(共著、丸善、2016年)、『建築再生学─考え方・進め方・実践例─』(共著、市ヶ谷出版社、2016年)など。

吉江俊(よしえ・しゅん)
早稲田大学建築学科講師、博士(工学)。専門は都市論・都市計画論。日本学術振興会特別研究員、ミュンヘン大学訪問研究員を経て現職。消費社会の都市の変容を追う「欲望の地理学」で博士学位を取得。自治体・住民と協働した地方市町村のまちづくり、民間企業と協働の都市再生や「迂回する経済」の実践研究まで幅広く行う。近年は早稲田大学キャンパスマスタープラン作成、東京都現代美術館「吉阪隆正展」企画など。著書に『無形学へ』(共著、水曜社、2017年)、『コミュニティシップ』(共著、学芸出版社、近刊予定)。